
北海道で仕事をする私たちにとって、ヒグマとの遭遇は決して他人事ではありません。山間部や郊外の現場に向かう前、皆さんは何を確認していますか?
私が毎日欠かさずチェックしているのが「ヒグマップ(higumap.info)」です。今日はこの命を守るツールについて、実際に使っている立場から紹介します。
ヒグマップとは?
北海道のヒグマ目撃情報システム
ヒグマップは、北海道内のヒグマ目撃情報をリアルタイムで地図上に表示するシステムです。現在、道内70以上の市町村が参加し、各自治体が収集したヒグマの出没情報を共有しています。
主な特徴
- リアルタイム更新:自治体が情報を登録すると即座に地図に反映
- 広域対応:参加市町村すべての情報を一つの地図で確認可能
- 直近3ヶ月表示:全道の最新情報をまとめて閲覧
- 詳細情報:目撃日時、場所、状況などを確認できる
現場作業前のヒグマップチェックが重要な理由
ヒグマは北海道の山林に広く生息しており、特に10月から11月は遭遇リスクが最も高い時期です。また、朝夕の時間帯や天候が悪く薄暗い日は、昼間でも活動が活発になります。
現場に向かう道中や作業場所の近くでヒグマが目撃されていないか、事前に確認することで:
- 危険な時間帯・ルートを避けられる
- 必要な対策グッズを準備できる
- 万が一の際の心構えができる
ヒグマップの使い方【実践編】
- スマホでhigumap.infoにアクセス
- 目的地周辺を確認:地図上のマーカーをタップすると詳細表示
- 直近の情報をチェック:最近の目撃情報があれば特に注意
- 必要に応じてルート変更や対策を検討
参加市町村なら、各自治体のページから地域ごとの詳細情報も確認できます。
ヒグマ対策の基本|現場での安全確保
ヒグマップで情報を確認したら、次は実際の対策です:
出会わないための対策
- 音を出す:熊鈴、ラジオ、会話で人の存在を知らせる
- 複数人で行動:一人での山林作業は避ける
- 早朝・夕方は特に注意:ヒグマの活動時間帯
- 視界の悪い場所では警戒:沢沿い、藪、曲がり角
携行すべきもの
- 熊撃退スプレー:至近距離での最終手段(北米では90%以上の効果)
- 熊鈴:常に音を出して存在を知らせる
- ラジオ:風の音で鈴が聞こえにくい時に有効
- 懐中電灯:早朝・夕方の作業時
もし遭遇してしまったら
距離が遠い場合(100m以上)
- 静かに後退する
- クマを刺激しない
距離が近い場合(50m以内)
- 落ち着いて行動
- 大きな声と音で威嚇
- 自分を大きく見せる
- クマ撃退スプレーを準備
接近してきた場合
- ためらわずスプレーを噴射
- 安全な場所へ逃げる
絶対にやってはいけないこと
- 走って逃げる(追跡本能を刺激)
- 背を向ける
- 死んだふり(効果なし)
参加自治体の広がり
ヒグマップは2017年に総務省「ICT地域活性化大賞」優秀賞を受賞し、現在では道内の主要都市を含む多くの自治体が参加しています:
- 道央:札幌市、千歳市、恵庭市、新十津川町など
- 道南:函館市、北斗市、松前町、木古内町など
- 道北:旭川市、名寄市、士別市、美瑛町など
- 道東:北見市、釧路市、厚岸町、標茶町など
ヒグマップの社会的意義
このシステムの素晴らしい点は、行政の枠を超えた情報共有を実現していることです。ヒグマは市町村の境界を意識しません。広域での情報共有により、より効果的な注意喚起が可能になっています。
また、一般市民が簡単にアクセスできることで、自分の身は自分で守る意識が高まります。現場作業者、登山者、観光客など、すべての人が活用できる公共の安全インフラです。
まとめ:ヒグマップを習慣化して命を守る
ヒグマップのチェックを毎日の習慣にすることをお勧めします。天気予報を見るように、ヒグマ情報も確認する。たったそれだけで、リスクを大きく減らせます。
北海道で働く私たちにとって、ヒグマとの共存は避けられない課題です。しかし、正しい知識と適切なツールがあれば、安全に活動できます。
次の現場に向かう前に、ぜひヒグマップをチェックしてください。
あなたの安全が、家族の安心につながります。
参考リンク
※本記事の情報は2025年11月時点のものです。最新情報は各公式サイトでご確認ください。