
目次
現場の空気が変わった
2024年4月、建設業にもついに「時間外労働の上限規制」が適用された。
それから約2年。北海道の現場を飛び回りながら感じるのは、
ルールが変わっただけで人が増えたわけじゃないという冷厳な現実だ。
何が変わったか:2024年問題の中身
改正労働基準法の適用により、建設業の時間外労働に以下の上限が設けられた。
- 原則:月45時間・年360時間以内
- 特別条項あり:年720時間・月100時間未満(休日労働含む)
- 違反した場合は罰則あり(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)
かつては「36協定さえ結べば青天井」だった建設業に、ようやく一般企業と同じルールが適用された形だ。
しかし現実は「2024年問題は終わらない」
帝国データバンクの調査によると、2025年の建設業倒産件数は2,021件と過去12年ぶりに2,000件超え。
そのうち人手不足を直接原因とする倒産は年間113件と過去最多を記録。
人手不足倒産全体の実に77%は従業員10人未満の小規模事業者だ。(SBビジネスメディア 2026年1月22日)
電気工事のような専門工事業者にとって、これは対岸の火事ではない。
小規模・外注依存の現場が直撃される理由
外注依存度の高い小規模事業者が特に厳しい理由は3つある。
① 外注単価の急騰
人親方や協力会社の絶対数が減少。
需要は変わらないのに供給が減れば単価は上がる。
人件費・外注費の増加がキャッシュフローを直撃する。
② 工期の延長リスク
労働時間の上限があるため、同じ工事量をこなすには人数か工期を増やすしかない。
元請けからの工期短縮要求との矛盾が深刻化している。
③ 若手が来ない・定着しない
建設業の高齢化は深刻で、業界全体の就業者の約3割が55歳以上。
「きつい・汚い・危険」のイメージが根強く、若手の採用競争は都市部・大手に有利に働く。
地方の小規模事業者にしわ寄せが集中する構造だ。
2026年、さらに重なる新たな法改正
2024年問題だけでも厳しいのに、2026年1月からは「取適法(中小受託取引適正化法)」も施行された。
建設工事そのものは対象外だが、設計・調査・測量などの委託取引には適用される。
支払いサイトの短縮(手形払いの廃止・60日以内の支払い原則)が義務化され、元請けのキャッシュフロー管理が一段と厳しくなっている。
さらに日経新聞の調査では、大手・中堅建設会社の約7割が「2026年度内は大型工事を新規受注できない」と回答。
受注余力の縮小が経済成長の足かせになりつつある。
北海道の現場で感じること
北海道は本州に比べて現場間の移動距離が長く、出張コストも高い。
冬季は施工できる期間が限られるため、春〜秋に工事が集中する。そこへ労働時間の上限規制が加わると、物理的に仕事が回らなくなる局面が現実に起きている。
「人が足りない」ではなく「人がいない」。
それが今の北海道の電気工事の現場の実情だ。
生き残るために今できること
厳しい話ばかりでは終われない。現場の経験から言えば、今動ける事業者には以下の方向性がある。
① 施工管理のデジタル化
工程・書類のペーパーレス化で事務工数を削減。現場に使える時間を増やす。
② 単価交渉の正当化
労務費上昇を根拠にした単価見直しは今が交渉しやすいタイミング。黙って受けない。
③ 特定分野への専門化
太陽光・EV充電設備・スマートホーム化など、需要が伸びる専門領域に軸足を移す動きが活発化している。
🛒 施工管理・建設業向けツール・書籍をチェック
→ 施工管理 効率化 Amazon
→ 建設業 経営 実務本 楽天
まとめ
建設業法改正で「ルール」は整った。
しかし「人」は増えていない。
2024年問題は終わらず、2025年・2026年と波が続く。
特に北海道のような地方の小規模事業者にとって、外注依存の構造を変えない限り、厳しさは増すばかりだ。
変化の荒波を「生き残る側」に回るためのヒントは、現場の最前線にある。このブログではこれからも、リアルな現場情報を発信し続けていく。
出典:帝国データバンク、SBビジネスメディア(2026年1月22日)、日本経済新聞、厚生労働省、中小企業庁 情報は2026年3月8日時点