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なぜ無許可業者は捕まらないのか|人手不足が育てる「摘発されない構造」

結論から言う。捕まらないのは法が弱いからじゃない。「見つける側の人手」が足りないからだ。しかも人手不足は、無資格業者を育てる「需要の側」でも奮闘している。北海道内を飛び回っていて、この構造は体感的に間違いない。

電気工事現場の配電盤。無資格工事が問題になるのはこうした設備の工事
建物の電気を支える配電盤・分電盤。この中の工事が資格の世界だ(写真:北英電気)

まず、どこからが違法か

法律ルール罰則
電気工事士法無資格者の電気工事は禁止(第3条)罰金3万円程度など刑事罰
電気工事業法請負で営むには登録が必要無登録は懲役1年以下など
建設業法500万円超の工事に許可が必要3年以下の懲役または300万円以下の罰金

建物の固定配線に手を入れた瞬間、基本は電気工事士の世界だ。照明器具の取替えなど軽微な工事だけが例外になる。

捕まらない理由は「発覚ルート」にある

無許可・無資格が発覚する道は、現実にはほぼ3つだ。①同業からの通報、②現場での事故による労働局の調査、③元請けの反面調査。つまり、事故が起きるか、誰かが通報するか、たまたま調べられるか。そのどれでもない限り、表には出ない。

行政の立入検査は「施行に必要な限度」で、全業者・全現場を回れるわけではない。しかも個人の居住場所は、住人の承諾なしには立ち入れない。住宅の現場は、最初から検査の網の外に近い。

事故ゼロで丁寧にやっていれば、何年でも潜ったまま。これが第一の答えだ。

分電盤の結線作業。接続不良は数年後に火災の原因になる
結線の出来は見えないからこそ怖い。当日は動いても、数年後に差がつく(写真:施工管理チャンネル)

罰則が軽くて、バレても痛くない

無資格施工の罰則は罰金3万円程度。1件の請負額より安い。リスクを引いても割が合うなら、商売として成立してしまう。火災や感電という最大リスクは「事故が起きてから」で、その瞬間まで行政の手は基本届かない。

人手不足は「2方向」から効いている

施工側の話。電気工事士は高齢化が進み、免状取得者の半数が50歳以上というデータがある。経済産業省の審議会資料では、第一種電気工事士は想定需要約20.4万人に対し2万人程度が不足する見込みだ。正規業者に仕事が殺到し、待ち時間が伸びる。待てない客は、「安くてすぐ来る」無資格業者へ流れる。

監督側の話。検査員の数も有限だ。結果、抜き取りと通報頼みにならざるを得ない。人手不足は、無資格の「供給」を作り、その「需要」も運び込む。両面で効いている。

待っている側より、入る側の選択肢も伝えたい。業界は常に人を探している。第二種電気工事士のテキスト(Amazon)から始めて、資格を取る人が増えるのが理想だ。

電気工事士の資格を解説する資料。人手不足の業界で資格取得が進む
電気工事士は需要が減らない資格。足りないからこそ、取る価値がある(写真:Watt Magazine)

一番痛いのは、依頼した側だ

無資格の配線は、工事当日は普通に動く。怖いのは熱と負荷が数年かけて積み上がるタイミングで、真夏の冷房フル稼働で突然出火するパターンが知られている。火災の調査で「資格者による適切な工事ではなかった」と判断されれば、火災保険が減額・不支給になる可能性すらある。

「資格者の友人が図面だけ書いて、施工は無資格」という名義貸しも厄介だ。事故が起きたら、施工した人、指示した人、依頼したオーナーまで、全員の責任に火種が飛ぶ。

依頼側で防ぐ3つの確認

1. 電気工事士の免状を確認する。大事なのは「現場で施工する本人」の資格かどうか

2. 電気工事業の登録票を提示してもらう。登録番号で業者の体質が見える

3. 「内装のついでに電気も」は最大の要注意。誰が、どの資格で、どこまで施工するのか書面でもらう

FAQ

無資格工事はどこから違法?

建物の固定配線(壁や天井の中の配線、分電盤からの分岐など)に手を入れた時点で基本アウト。照明器具の取替えなど軽微な工事のみ例外。

通報先は?

電気工事業の登録・監督は管轄の産業保安監督部、建設業許可のない営業は都道府県の建設業担当窓口。

なぜ捕まらないの?

発覚が事故・通報頼みで、住宅現場への立入検査は承諾制限があるため。無資格施工の罰則が軽いことも、「割に合う」違法を生んでいる。

人手不足と関係ある?

ある。工事士不足で正規業者に仕事が集中し、待てない客が無資格業者へ流れる。検査する側の人手も有限だ。

まとめ:最強の取り締まりは「選ぶ側」がやる

市場は罰則では矯正できない。資格と登録を確認して正規業者を選ぶことが、消費者ができる最も強い取り締まりだ。今の家なら、備えとして住宅用火災警報器(Amazon)を足すのも一つの手だ。

我々正規業者は、待ち時間で応戦するしかない。それが結論だ。