
「また電気代上がるんですか?」
先月、札幌市内の一戸建て住宅で電気工事をしていたとき、施主さんからこう聞かれた。手元の請求書を見せてもらうと、冬場の電気代が3万円を超えている。
オール電化で暖房も給湯も全部電気。北海道の冬はそれだけで家計を圧迫する。
「5月からまた上がりますよ。再エネ賦課金ってやつが」
そう答えたら、施主さんの顔が曇った。
2026年5月検針分から、再エネ賦課金が4.18円/kWhに引き上げられる。これは制度開始以来の最高値で、一般家庭で年間2万円、電力を大量に使う法人ならそれ以上の負担増だ。政府の補助金も4月で終了し、電気代はここから本格的に跳ね上がる。
この記事では、北海道の電気工事現場で実際に聞いた悲鳴をもとに、値上げの仕組みと今すぐできる節電対策をまとめた。一般家庭も法人も、読んだその日から実行できる内容だけを書く。
目次
📅 2026年5月、電気代はどれくらい上がるのか
一般家庭への影響
再エネ賦課金は電力使用量1kWhあたり4.18円が一律で加算される。標準的な家庭(月300kWh使用)で計算すると以下の通り。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月額負担 | 約1,254円 |
| 年間負担 | 約15,048円 |
| 2025年度比 | +60円/月(+720円/年) |
北海道のオール電化世帯はさらに厳しい。 冬場は暖房で月1,000~3,000kWh使うケースも珍しくなく、その場合の再エネ賦課金だけで月4,180~12,540円になる。
先月訪問した恵庭市の施主さん宅(4人家族・オール電化)は、1月の電気使用量が2,500kWh。再エネ賦課金だけで月10,450円だ。「暖房止めるわけにいかないし、どうすればいいんですか」と聞かれて、正直返す言葉に困った。
法人・事業所への影響
高圧電力契約の事業所はさらに深刻だ。私が工事を請け負っている道内の小規模工場(月15,000kWh使用)で試算すると、
再エネ賦課金(月額)=15,000×4.18=62,700円
年間では752,400円。これは電気代本体とは別に乗る負担で、削減の余地がほとんどない。
「電気使わないと製造ラインが止まる。でも値上げ分を製品価格に転嫁できない」
道央の食品加工会社の社長が漏らした本音だ。
🔍 なぜ再エネ賦課金は上がり続けるのか
仕組みを簡単に説明する
再エネ賦課金(正式名称:再生可能エネルギー発電促進賦課金)は、太陽光・風力などの再生可能エネルギーを普及させるため、電力会社が再エネ発電事業者から電気を買い取る費用を、全国民で負担する制度だ。
「回避可能費用」とは、火力発電など従来電源で発電していた場合にかかったであろうコストのこと。市場の電力価格が下がると、この回避可能費用も減り、結果として賦課金が上がるという逆転現象が起きる。
2023~2024年は燃料価格高騰で電力市場が高かったため、回避可能費用も高く賦課金は抑えられていた。だが2025年以降、燃料価格が落ち着いたことで回避可能費用が減少し、2026年度は過去最高の4.18円に跳ね上がった。
ピークは2032年度の見通し
経済産業省の試算では、再エネ賦課金は2032年度にピークを迎え、その後は太陽光発電の買取期間終了に伴って徐々に減少する見込みだ。
つまり、あと6年は上がり続ける可能性が高い。
💡 北海道の現場で実感した「電気代高すぎる問題」
オール電化世帯の冬場の悲鳴
北海道でオール電化を選ぶ理由は明確だ。灯油の配送が間に合わない地域や、高齢世帯で灯油タンクの管理が難しいケースが多い。だが冬の暖房費は想像以上に跳ね上がる。
昨年12月、旭川市の一戸建て(築5年・オール電化)で分電盤の点検をしたとき、施主さんが電気代の明細を見せてくれた。
- 11月:18,500円
- 12月:27,800円
- 1月(予測):33,000円超
「去年より5,000円高い。補助金が減ったせいですか?」
正確には、補助金縮小+燃料費調整額の上昇+再エネ賦課金の値上げ、この3つが重なっている。5月以降はさらに厳しくなる。
法人の電気代も限界突破
道内のコインランドリー経営者からも相談を受けた。「乾燥機を24時間回すと月20万円超える。これ以上上がったら廃業も考えないと」
高圧電力契約の事業所は、再エネ賦課金だけでなく発電側基本料金(2024年4月導入)も負担している。電気を減らす余地がない業種ほど、値上げの直撃を受ける。
🛠️ 今すぐできる節電対策|一般家庭編
①人感センサー付きLED電球に全交換
北海道は冬場、日照時間が短く照明を使う時間が長い。廊下・トイレ・玄関など、つけっぱなしになりがちな場所を人感センサー付きLED電球に変えるだけで、年間数千円の節約になる。
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- 電球色・昼白色選択可
- 40W形相当で消費電力4.7W
- 密閉型器具対応
私自身、自宅の廊下とトイレに設置済み。人が通ると自動点灯し、約90秒で消える。つけっぱなし防止に絶大な効果がある。
②タイマーコンセントで待機電力カット
北海道の冬は電気カーペットや電気毛布を使う家庭が多い。これらは待機電力が意外と大きい。
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- 設定時間だけ通電
- 電気カーペット・暖房便座・電気ポットに最適
- 1日最大8プログラム設定可
施主さんに勧めたら「寝る前だけ電気毛布ONにして、朝は自動OFFにしたら月500円減った」と報告をもらった。
③エアコンのフィルター掃除を月1回
暖房効率を落とす最大の原因はフィルターの目詰まり。月1回の掃除で暖房効率が10~15%改善する。
手順は簡単。
- フィルターを外す
- 掃除機でホコリを吸う
- 水洗いして乾燥
これだけで消費電力が減る。北海道の冬場、エアコン暖房を使う世帯は必須のメンテナンスだ。
。
🏢 法人・事業所向け|コスト削減の現実的な選択肢
①高圧電力の契約見直し
高圧電力契約の場合、基本料金の設定が過剰なケースが多い。実際の最大需要電力(デマンド値)を確認し、契約容量を適正化するだけで年間数十万円削減できる。
私が工事を請け負っている道内の倉庫では、契約を50kWから35kWに見直し、年間18万円削減した実例がある。
②LED照明への全面切り替え
工場・倉庫・店舗の照明がまだ蛍光灯なら、LED化で消費電力を50~70%削減できる。
初期投資の回収期間は2~3年。補助金を使えばさらに短縮できる。北海道では「省エネ設備導入補助金」が利用可能な自治体もある。
③デマンド監視装置の導入
高圧電力の基本料金は、過去1年間の最大需要電力で決まる。一瞬でもピークを記録すると、1年間その料金が続く。
デマンド監視装置を導入し、ピーク時に一部設備を自動停止させることで、基本料金を抑える手法が有効だ。
📌 まとめ|5月の値上げに備えて今できること
2026年5月から再エネ賦課金が4.18円に引き上げられ、政府補助金も終了する。一般家庭で年間2万円、法人では数十万円の負担増が確実に来る。
一般家庭がやるべきこと
- 人感センサー付きLED電球に交換
- タイマーコンセントで待機電力カット
- エアコンフィルター月1回掃除
法人・事業所がやるべきこと
- 高圧電力契約の見直し
- LED照明への全面切り替え
- デマンド監視装置の導入
北海道の冬は、電気を減らす余地が少ない。だからこそ、減らせる部分を確実に減らすことが重要だ。
「電気代高すぎる」──現場で聞いたこの悲鳴を、少しでも和らげるために。この記事が役に立てば幸いだ。